アフターコロナを議論する
有意義な議論ができる論説であるので取り上げたい。
論理的でもあり、センセーショナルなものを狙ったわけではない。
それぞれのトピックから簡単に議論してゆく。
<対中国>
中国包囲網が強まることは議論の余地がない。
コロナの恨みがあるかどうかはともかくとして、不透明で恣意的な政策しかない中国とまともに付き合うことはできないと知った。
彼らの不透明性から、この先どんな予想できない異常事態に見舞われるかは分からないからだ。
<「内部留保の蓄積」は悪から正義に?>
内部留保が今回の都市封鎖や自粛で経済を止めた緩衝材になったという認識が生まれるとしたら驚きだ。
これだけメディアが騒ぐ中、数字を見てそのような結論が出るだろうか。
まだ日銀短観レベルだが景気に対する悲観は結局、都市封鎖は間違いだったという結論にしかならないと思うのだが。
また、「カネは使わないほうがいい」ということが、「規範」となるということには異論がある。
規範は法や制度から由来するものであり、今回のことは「経験則」ということになるからだ。
経験則は裏切られるものだ。
そうなるとやはり、この先のダメージがどうであるのか、それ次第と言うことになる。
なまじ内部留保や貯蓄があったために経済を簡単に止めてしまい、格差は生じただけでこれを埋めることはできなかった。
経済支援は国民の全てに行われてしまい、内部留保のゆがみを是正することもできなかった。
「内部留保があるから潰れない」というのは資金効率が悪いことを意味する。
原則からすれば解散して資金を等分した方がいいのだ。でなければリスクに際してこれを「食いつぶす」だけで終わってしまう。
<貯蓄・投資バランスに変化のうねり>
過剰貯蓄に世界が傾くということはカネが余るということに尽きる。
政府が赤字でも民間部門が大量のマネーを抱えたままでいることはバランスの問題でしかない。
政治判断のみによって適切な政府投資ができるかどうか、問題はそこだ。
成長率が鈍化することは間違いないが、やはり成長率を追及し続けるのか、それとも持続可能でリスク対応ができる経済構造を模索するのか、その分岐点にいるということもその判断の根拠となる。
<「中銀バランスシートの健全性」と「通貨の信認」>
為替は逃げ道がない。必ずどこかの通貨と交換されることになる。
あくまで相対的な評価の上で、そのトレンドに対してバランスシートなどが取り沙汰されたに過ぎず、結局は通貨の信認とは国力だ。
先進各国がインフレを気にせず通貨発行を増大させることができるのに対し、後進国ではそれができないというだけだ。
コロナ対応ではこの国力の差が明らかになっている気がする。
国家が借金によって滅びることはない。
政府の累積債務は、将来の世代への負担となって問題となるだけだ。