中国が、米から露・イランと同列視される理由
ナショナリズムを「悪」とするような論調はひどく歪んでいる。
「テクノナショナリズム台頭」などという言い方は、日本向けだけのタイトルなのだろうか。
アメリカで同じ言葉を使ってもマイナスイメージはない。
それはともかく、「テクノロジー企業」などとひとことで云われるが、今、中国の強盗貿易への対抗措置として話題に上っている企業はほとんどがネット企業だ。
これはだから、中国が再三やってきた技術の盗用とか特許侵害などという話ではない。
つまりこれは、「テクノ」ではない。
名前の挙がっている企業はどれも、技術と言ってもコピーや模倣が容易にでき、ソースコードが公開されさえているネット上の競争を戦っている。
そしてその企業間競争は端的に言えば資本力によるものでしかなく、モノポリーのようなシェア争いということでしかない。
だからこれは「ネットナショナリズム」と言い換えれば正確だ。
つまりこれは、正しくは「情報世界における覇権争い、ヘゲモニー争い」なのだ。
ただし、中国政府の場合には、情報というものを統制できると信じこんでいる立場だから、それはヘゲモニーでもないし覇権でもない。
これを踏まえて正しく表現すれば、中国共産党のように「都合の悪いことは全てを隠し、歪め、情報を国家が一元管理したい勢力」と、「情報流通の健全性が社会の健全性につながることを知っている先進国」との戦いということになる。
韓国もこうした情報管理の側、つまり中国の側にいる。
韓国には通信の秘密はなく、デマゴーグと嘘が支配する国だからだ。
常々、不思議に思っていたことがある。
アメリカの対ロシア敵視政策や、イランへの拭い難い憎しみというものが、幻想に過ぎないのではないかということだ。
ロシアについてはアメリカが一丸となることを鼓舞するために利用され、イランについては「アメリカは負けない」というテーゼを信じさせる、そんな政治のツールなのかも知れないということだ。
そういう疑念があった。
つまりロシア敵視政策は都合のよい敵対政策でしかなく、イランについても怒りの炎を絶やさないための大衆操作だと思われるフシがあったからだ。
ロシアとアメリカはソビエト革命による共産化がそのシコリをつくっただけであったし、冷戦はゲームのような仲のよい大国同士のゲームだったように思える。
なにしろ同じ白人同士、敵視する必要はないはずだ。もしアメリカに黒人差別などというものが今でもあるというのであれば尚更ではないか。
また、イランにしてもイランはサウジよりずっと民主主義の国だ。
アメリカにはイラン革命の人質事件がトラウマだという説があるが、ベトナムとの和解と現在のベトナムとアメリカの協調関係を考えれば、その憎しみはあまりに腑に落ちないものがある。
つまり、ロシアにしてもイランにしても、彼らを「アメリカの敵」とする理由があまりにも希薄なのではないか、そう思えた。
しかしここへきて、やっとその真相が分かってきたような気がする。
つまり、アメリカは情報を統制しようとする国を決して信じないという哲学があるのではないかか。
もちろんアメリカ政府も嘘をつく、工作をし、宣伝工作をする。
しかし、あくまで当事者として情報の流れに参加することはあっても、情報そのものを管理しようとしたり自分のものとは決してしない。
情報への介入というのは、あくまで限られた範囲で行われていることが改めてわかる。
ネット企業はその透明性が武器である。
情報のヘゲモニーを握るのはあくまでも透明性だ。
アメリカはロシアにしてもイランにしても、情報統制が国家によってされていると考えている。
だからアメリカは彼らを信じないし叩いてきた。
大衆をコントロールし、ロボトミー化する国をアメリカは許さない。
これまで、体制が違うと傍観を決め込んでいた中国共産党というウィルスは、情報の統制という点でアメリカには全く受け容れることができない。
いよいよ、その事実から米国は目を背けることはできなくなったということではないだろうか。