【集中寄稿】ウクライナから我々が学ぶべき現実
結論から言えば、これはプーチンがどれほどの悪でロシアが侵略者であるかを言い立て、断罪するものではない。
タイトルから誤解される方がいると困るので予めお断りしておく。
また、本稿はプーチンの野望などと騒ぎ立て、「ロシア帝国の再興」を画策するプーチンの狂気などとストーリーを作ってみせたりするものでもない。
侵攻のキッカケはあった。その真相はあまりに邪悪なアメリカからのメッセージだったということに尽きる。
また加えて、本稿はロシアを中国に投影してみせるものでもない。
それは間違いだ。
事実は事実として冷酷に受け止められるべきである。
すでに株式市場はそうした動きをしていることは周知の通りである。
ウクライナ侵攻は起こるべくして起きてしまったことだ。
バイデンはコロナが収束に向かいつつあるとみるや、すぐさまこのウクライナ問題を騒ぎ立て始めたかに見えた。
いうまでもなく中間選挙のためだ。
なんとしてもトランプを封じ込めたい連中がいる。
クリミアの併合以降、西側は小さな制裁をロシアにしかけたり外交交渉など細かなちょっかいをロシアに出し続けてきたがここへきて特に大きな摩擦があったわけではなかった。
しかし、とうとう現在のコメディアン出身のウクライナ大統領ゼレンスキーはあからさまにNATOへの加盟を政治目標に掲げるようになった。
このサイトではすでにウクライナという国の怪しさ、その国家の無法については何度か指摘してきた。
これは西側、とりわけアメリカによる自作自演のゆるやかな、しかし着実な侵略行為であり、プーチンがこれに危機感を持ったのは当然のことだ。
プーチンは西側にウクライナのNATO加盟をさせないよう度々要求した。
それが西側とロシア双方の安全保障にとって大事であるともプーチンは主張した。
緊張を作り出したのはいったい誰なのか。
他ならぬアメリカと西側だったのである。
しかし西側、とりわけアメリカのロシアの要求に対する返答は木で鼻をくくったようなものだった。
いわく、「ウクライナは独立国家である。NATOに加盟するかしないかの判断は彼らが決めることが出来る」というもの。
これは実におかしなことだ、ウクライナに傀儡とも言える親米政権をクーデターによって樹立させておいて、この言い草である。
しかもNATOの拡大、ソビエト連邦の崩壊後、ワルシャワ条約機構の消滅した欧州で、暫時その条約網を拡大させウクライナまで迫っていった正当な理由はどこにも見当らない。
NATOという軍事同盟は拡大を続けてきた。
複数の国家による軍事同盟である限り、それが独立国の判断で許されるはずもない。
大勢集まれば正義があるなどとは言えない。
西側はどんな意図でロシアに挑発とも取れる行為を続けてきたのか。
そしてなぜ、アメリカはこんな幼稚な言い草で逃げを打つばかりだったのか。
まるでロシアに「侵攻してくれ」と言わんばかりのしらばっくれようであった。
それでもプーチンは最後まで忍耐を持っていた。
実はトランプがアメリカ大統領になると、彼はNATOからのアメリカの撤退を度々ほのめかしている。
欧州は遠くアメリカの直接の利益にもならず、ユーロ経済圏に凝り固まったドイツの帝国とも言える欧州は我慢がならないほど傲慢だったからだ。
これに欧州は慌てた。
アメリカがNATOから手を引けば軍事的後ろ盾もカネも消えてしまうからだ。
何より軍事同盟であるNATOの結束は超大国アメリカあってのことで、それがなければユーロからイギリスが離脱したようにバラバラになってしまうのは明らかだった。
だから、バイデンが今回のことを始めようとした時、最初はロシアへ圧力をかけることを渋っていたフランスも従い、ドイツでさえロシアを追い詰めることを容認した。
西側はNATOにアメリカのコミットを続けさせるため、今回のロシアへの挑発を容認したのだった。
プーチンへ圧力をかけることを黙認したのだった。
その最終的な結果が今回のウクライナ侵攻である。
では今、NATOは軍事的対抗をしてウクライナに出撃するかというとそれはない。
これはもともとアメリカの描いた青写真であり、ありていに言えばバイデンが中間選挙のために仕掛けた政治ショーでしかないからだ。
そこまでやる義理はないというわけだ。
ドイツはガスパイプラインであるノルドストロームを使えなくなった。アメリカにしてやられたことになるが仕方がない。
それでも、ドイツにはまだ中国との良好な経済関係があるというわけだ。
しかし、それにしても、「ウクライナの主権によってNATOへ加盟するかしないかは自由だ」とは、いったい何という言い草なのか。
まるで議論にもならない盗人猛々しい言い方ではないか。
だが、よく考えてみるとこの言い草にはどこか思い当たるフシがある。
よく聞いたことがある言い方なのだ。
それは中国のことだ。
中国は常々、こうした言い草で自由世界を煙に巻いてきた。
南沙諸島での軍事基地、人工島の建設でさらりと領土を拡大し、オーストラリアに近い小国の島国の土地を買い上げて一帯を封鎖、軍事基地を建設している。
そして度重なる領空侵犯、領海侵犯。
フィリピン、ベトナム、インドネシア、インド、台湾、沖縄、尖閣などなど。
中国の覇権主義はその勢力拡大を虎視眈々と狙っている。
トランプの発案での東シナ海での「自由の航行作戦」に対しては、中国は公海でありながら侵略行為だと噛み付いた。
そして中国国内では毎日のように人々が逮捕拘禁され、香港でも自由活動家が逮捕拘禁される。
ウィグルでは数十万の人々の行方が不明のままだ。
日本の大使館員すら例外ではなかった。ごく最近のことだ。日本の大使館員が問答無用で逮捕された。証拠も容疑内容も示されることはなかった。
スパイ容疑をかけ連行し、外交交渉のカードにする傍若無人は中国の常套手段だ。
だが中国は内政干渉としてこれらに対する告発や抗議、無法との批判をことごとく無視してきた。
木で鼻をくくったようにして開き直り、中国は勝手な主張をするだけだ。
これは軍事行攻撃を伴わないだけで挑発と攻撃ではないか。
西側が中国に抗議すれば中国政府は言ったものだ。
白々しい言い草で、報道官が挑戦的に唇をとがらせて言ってのけたものだ。
すなわち、「中国には主権があり我々は独自の法とルールによって統治されている。干渉は許されない。」と。
つまり、これはウクライナでアメリカがロシアに対して言ってきたのと同じ言い方なのだ。
プーチンはとうとうこれに軍事行動という実力行使で対抗した。
アメリカが西側を使ってロシア叩きをしているのと同じように、中国は国連を使って慇懃だがこっそりと着実に同じように工作を進めてきた。
WHOのコロナ対応はあまりに中国寄りだ。
アメリカ資本市場に入り込み、人々を抱き込み、包囲網を作り上げてきたのは中国ではないか。
今、我々が学ぶべきはプーチンの実力行使についてであって、どうロシアとウクライナに停戦協議をさせるかとか、どれだけ制裁を科すべきかではない。
ウクライナ問題など存在しない。
むしろ我々はプーチンの決断に学ぶべきなのだ。
無視され続ける侵略行為への抗議が手遅れとなる前に、公然と武器を取って戦うことを我々は学ばなければならない。
水資源を取られ、法に基づく権利だなどと悠長な裁判をやっていればどうなるか。
中国の土地は外国人は取得できないのに中国人はあの手この手で領土に触手を伸ばしてくる。
拉致され逮捕され拘禁された我が国の国民。トボケ続ける連中は国民を返したろうか。
最後は結局は実力行使しかない。
それがプーチンが見せた非情な現実なのだ。
今、人々はロシア側の理屈を理解しようとはしない。
ひとつの理由はコロナワクチンのような情報操作が行われているからだ。
それは血が流れているのはロシアのせいだというプロパガンダに他ならない。
勧善懲悪、善悪の二元論だ。
オデッサで50人ものロシア系住民が生きたまま焼き殺された事件は西側に無視された。
やったのは現政府を支持するグループでありネオナチである。彼らは閣僚にも名を連ねている。
一方のワクチンにまつわる報道や情報操作。
コロナ政策はもはや政治の道具になり、ワクチン接種の推奨が意味もなく囃される。
もしこれに疑義する言論があればたちまちどこからか湧いてくる反論の数々。
まるで今のロシア侵攻に関する言論と酷似している。
言論は正常なものではなく、判断力を放棄する圧力が日々人々にかけられる。
これは情報戦だ。
今回のロシア侵攻で、反ロシアの言質が世界に溢れかえったことはアメリカの大規模な情報操作をうかがわせて興味深い。
そしてもうひとつ、ロシア側の侵攻には理由があると考えること、それを我が国の人々が拒絶するのはある連想が働くからだ。
すなわちそれは、ロシアのウクライナ侵攻に一定の理解を示してしまえば、いざ中国が台湾や沖縄、尖閣に侵攻してきた時に対抗できなくなってしまうと人々は怖れるからだ。
しかし中国の侵攻に対して我が国はどう対抗できるのか。
国際社会に抗議したところで取り合ってくれるだろうか。そんな甘いものではない。
プーチンのように武器を取って戦うべきはむしろ我々の方ではないのか。
ロシアに中国を重ねることは勘違いしたポジショントークに過ぎない。
立場を摩り替えて戦うことを避けようとする無責任でしかない。
ロシアを敵視するこうしたプロパガンダは長年にわたり利用されてきた。
ロシア住民が長年居住し、しかも戦争中ギリギリに併合された北方領土を返還せよなどと、愚かな世迷いごとを誰が言わせているのか。
そしてロシア嫌いが喧伝されるが、暴力国家中国に対してはどう対峙するのだ。
先日は伊藤忠の社員が逮捕拘束され実刑を終えて帰ってきたばかりだ。
中国では国家が恣意的に外国人にスパイ容疑をかけ、外交取引の手段とするために逮捕している。
抗議するばかりで国民を守れたためしはほとんどない。
誰が悪いか、誰が侵略者であるかは問題ではない。
ウクライナ紛争は起きている現実だ。
我々は中国の挑発に、いつかは攻撃しなければならなくなる。侵攻しなければならなくなる。
尖閣が占拠されれば周辺で操業する沖縄の漁民は拿捕される。安全の保障はない。
近海の航行すらままならなくなるだろう。
悠長なことを言っているだけでは手遅れになってしまうこともある。
北朝鮮に拉致された人々はまだ多くが依然として行方不明のままだ。
北朝鮮のミサイルに実力行使を避け続け、日本海側の都市にひとつでも落下したらどうなるのか。
進撃することも時には必要だということだ。
そうでなければ中国共産党に財産と生命を収奪され、独裁に従う奴隷の民に成り下がる。
ロシアがやったことが中国を想起させるのではない。
ロシアがやったことが我々がやらねばならないことなのだ。
平和がどれだけ不安定な上に築かれているか思い知るべきだ。人を殺すことは戦争でなくても起きる。
それが中国人によるもの、朝鮮人による犯罪だったとして、我々はどう対応してきたのか。
犯人を裁判にかけただけだ。
守れた命はない。
ウクライナ侵攻を決断したプーチンの直接のキッカケは明白だった。
アメリカが公然と断定してみせた。
いわく、「ロシアはウクライナ国内のロシア系住民をウクライナ政府を偽装して虐殺し、これを侵攻の口実にしようとしている」と。
これはプーチンにはおぞましいメッセージだった。
そんなことをツユほども考えてなかったとしても、ロシアがウクライナ侵攻をしなければアメリカの工作員が虐殺を実行するというメッセージは明白だった。
そして虐殺事件をロシアのやったことにしてみせ、それがどんなに疑わしいものでも虐殺を止められなかった弱腰プーチンは失脚したことだろう。
それはバイデンは中間選挙のためにロシアを槍玉に挙げる必要があったからだ。ロシアを悪役にする必要があった。
それにはウクライナに侵攻させることが絶対条件だった。
ロシアが国境付近に軍を駐留させてウクライナのNATO加盟を牽制している程度では困るのだ。
アメリカは自国民でなければその命など屁でもない。ロシア系住民を虐殺させることなど何とも思わないだろう。
かくてプーチンは侵攻を開始し、今のところ虐殺は起きていない。
ロシアのウクライナ侵攻にはハッキリとしたキッカケがある。
国民の生命と安全をなんとしてでも守るというのならロシアに学ぶべきだ。
ロシアのような行動を我が国も覚悟すべき時がある。
いつかそれは必ずやってくる。